『廃深2(はいしん2)』は横スクロールのホラーアドベンチャーゲームだ。
動画撮影のために廃ショッピングセンターを訪れた女子大生3人が、襲いかかってくるサルの着ぐるみから逃げながら、廃墟にまつわる秘密を解明し、脱出を目指す。
各階に散らばったキャラクターを切り替えながらの探索はおもしろく、時折サルの着ぐるみに襲われる、ホラーならではの緊張感が楽しめる。qureateならではのきわどいCGも見逃せない。
この記事では『廃深2』のレビューをお届けする。
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あらすじ
動画配信者の陽葵と雅、藍那は動画撮影のため、廃墟となった「堵替塚ハッピーウェイ」を訪れた。
「堵替塚ハッピーウェイ」は訪れた者が神隠しにあうと噂になっている、いわくつきのショッピングセンターだ。
3人は廃墟をひと通りまわったが、怪異は起きなかった。陽葵が落胆していたそのとき、3人は血だらけのサルの着ぐるみに襲われ……。
キャラクター紹介(声優)
愛月 陽葵 (CV.Lynn)
動画配信チャンネル「ひまちゃんねる」のメイン配信者。大学生。
底抜けに明るいキャラクター。
姫宮 雅 (CV.山本 希望)
陽葵の同級生で、動画配信チャンネル「ひまちゃんねる」メンバー。
裕福な家の娘。怖がりな性格。
柊 藍那 (CV.真野 あゆみ)
動画配信チャンネル「ひまちゃんねる」メンバー、編集担当。
陽葵、雅と同じ大学の1年後輩。
普段は無気力そうに見えるが、レトロなものを発見するとハイテンションでしゃべり倒す。
レビュー
懐かしのアイテムが多数登場!ホラーだけど楽しくて分かりやすい探索
『廃深2』は1作目と同様に廃墟を探索し、脱出の糸口を見つけるポイント&クリックシステムとサルの着ぐるみから逃れるステルス要素を組み合わせた作りだ。
陽葵、雅、藍那は各階に散らばった後、エレベーターも階段も使えずに別行動になる。各階にあるアイテムだけでは先に進めず、Lボタン(Switch版)でキャラクターを切り替えながら、役に立つアイテムを探し、受け渡す必要がある。
「このアイテム、あの子に渡せばイケるかも」ってひらめくのが楽しい!
電波が入らない状況でも3人はなぜかストリーミング状態で、お互いの状況が分かるようになっている。会話のなかでヒントが出されることもあり、アイテムの使い道に迷うことはなかった。難しい謎解きや設定もなく、初見でも十分クリアできる難易度だ。
前作の舞台はホテルで客室がメインだったこともあり、似たような部屋が多く、単調に感じる面もあった。本作では舞台をショッピングセンターに移し、洋食店や電器店といった特色のある店舗を探索する。店舗のバリエーションが増えたことで、毎回新たな発見があり、飽きのこない作りになっていた。
今回の廃墟でもテレビデオやルーレット式おみくじ器など懐かしいアイテムが多数登場する。平成生まれには馴染みがないかもしれないが、藍那がレトロ好きであることから、会話のなかでそれぞれに説明が入るようになっており、知らない世代でも楽しめる。
狂気度の追加で着ぐるみから逃れる難易度はやさしくなった
探索を邪魔してくるのが「サルの着ぐるみ」だ。
前作ではナタを持ったブタの着ぐるみが追いかけてきて、捕まると即ゲームオーバーだった。本作のサルの着ぐるみは素手で、捕まったとしてもすぐに死ぬことはなく、キャラクターの狂気度が上がる。狂気度は低・中・高と段階を追って上がっていき、画面の四隅にノイズが発生して見えにくくなっていく。高の状態で捕まってしまうとゲームオーバー。回復アイテムとして各階に用意されたハーブを使うと狂気度が下がる仕組みだ。
サルの着ぐるみが迫ってくる前には鳴き声が聞こえるうえに、隠れるポイントも多いため、逃げ切れないことはないだろう。
即死ではなくなったこと、ハーブで狂気度を下げられることなど、前作に比べて逃げる難易度は下がっている。
サルの着ぐるみは頻繁に現れるわけではないため、対応に面倒さを感じることはなく、単調になりやすい探索パートの良いスパイスとなっていた。
闇落ちを回避して廃墟にまつわる謎を解け!
ハッピーエンドを迎えるためには廃ショッピングセンターとサルの着ぐるみの謎を解かなければならない。
さまざまな場所で拾える「とある芸術家のメモ」などの情報をもとに、3人はやるべきことを考え、行動に移していく。前作のように日本神話を絡めたものではなく、端的でわかりやすいストーリーだった。
本作はどちらかと言えば、廃墟のストーリーよりもキャラクター個々のバックグラウンドに焦点を当てている。3人はそれぞれ鬱屈としたものを抱えており、負の感情が廃ショッピングセンターと共鳴してしまう。
負の部分は冒頭から少しずつ小出しにされている。極限状態で闇に引きずり込まれてしまうのか、仲間と支え合えあって、立ち直れるのか、プレイヤーは3人を脱出させるだけでなく、より良い方向に導く役割も与えられている。
ホラーにとどまらず、キャラクターたちがピンチを乗り越えて成長する青春もの的な一面も感じられた。
補完的な要素としてSTREAMINGメニューの動画がある。「ひまちゃんねる」や3人の独白動画が用意されており、ストーリーが進むにつれて新しい動画が追加されていく。これらを見ればキャラクターの内面がより理解できるようになっている。
前作の3人が登場する「ななちゃんねる」の動画もあるよ!
イラストCG(スチル)はお色気成分が多め
本作のキャラクターデザインは前作に引き続き乾和音氏が担当。シリーズおなじみ、かわいいキャラクターの“きわどい”イベントCGが多数収録されている。
qureateさんはいつもパンツへのこだわりが……(自粛)
サルの着ぐるみの不気味さ、恐ろしさも描かれており、トゲトゲの牙が並ぶ口、滴る血が狂気を表している。
エンディングコンプリートまでのプレイ時間は7時間20分
『廃深2』のエンディングは全部で6つ。コンプリートまでのプレイ時間は7時間20分だった。
ほどよいボリュームで、こまめにセーブしていればエンディング回収も容易だ。
バッドエンドが邪悪で良かった!
総合評価
『廃深2』は廃墟を舞台にした横スクロールのホラーアドベンチャーゲームだ。
難しい謎解きはなし、ストーリーも分かりやすく、ホラー要素もほどほどで誰でも気軽に楽しめる。
敵となるサルの着ぐるみの出現頻度もほどよく、廃墟探索のスパイスとして機能していた。
前作ファンのみならず、カジュアルで”きわどい”ホラーゲームを遊びたい人におすすめの作品だ。
- 負の感情と廃墟が共鳴するストーリー展開
- ほどよい緊張感をもたらすサルの着ぐるみ
- きわどいイベントCG
- 廃墟にまつわるストーリーもう少し深みが欲しかった
カジュアル
精神的恐怖
『廃深2』
- 対応機種:Nintendo Switch、PC
- 発売日:2023年9月21日(Switch)、2023年10月6日(Steam)
- 発売元:qureate、Orgesta Inc.
- 開発元:qureate
- ジャンル:ホラーアドベンチャー
- 筆者プレイ時間:7時間20分
- レビュー時のプレイ機種:Nintendo Switch (ver1.0.1)
※2023年10月15日時点
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