『廃深』(はいしん)は横スクロールのホラーアドベンチャーゲームだ。
プレイヤーは動画配信者の女性3人を操作して、殺人鬼から逃れつつ、廃墟に隠された秘密を解き明かしていく。
最終目標は廃墟からの脱出だ。
本作はかわいい女性キャラが殺人鬼に追われるホラー映画では定番の流れを踏襲。ストーリーは分かりやすく、プレイ時間も短いため、気軽にプレイできる。
この記事では、5つのポイントを上げながら、『廃深』をレビューしていく。
ジャンル | ホラーアドベンチャー |
発売元 | qureate |
開発元 | qureate Orgesta Inc. |
プラットフォーム (ストアリンク) | Nintendo Switch PC (Steam) |
発売日 | Switch:2021年4月15日 Steam:2021年6月17日 |
プレイ時間 | 6時間 (CGフルコンプまで) |
- 手軽なホラーゲームをプレイしたい人
- かわいい女の子が好きな人
あらすじ
動画配信者の奈々と美桜、梓は動画撮影のため、廃墟「ホテル イザナミ」を訪れた。
「ホテル イザナミ」は経営難からオーナーが幼い娘を道連れに心中した後、解体業者に不幸が訪れ、3階の1室には幽霊が現れるなど噂になっていた、いわくつきのホテルだ。
暗闇の中、3人はすぐにはぐれてしまう。
ひとりになった美桜はエントランス近くでショーケースに入った大きな豚の着ぐるみを見つけた。
その後、梓と連絡がつき、テレビ電話で通話していると、美桜の背後にナタを持った豚の着ぐるみが現れる……。
登場キャラクター紹介
生駒 美桜
動画配信チャンネル「ななチャンネル」メンバー。
おっとりしているように見えて、度胸がある。『廃深』の主人公的立ち位置。
桜井 奈々
動画配信チャンネル「ななチャンネル」メンバーで、メインの配信者。
再生数を稼げる企画として、廃墟探索を提案した。
明るい性格でグループを盛り上げるタイプ。
白石梓
動画配信チャンネル「ななチャンネル」メンバー。
一見クールに見えて、実は怖がり。不安に陥るとすぐにパニックになってしまう。
定番のポイント&クリックシステムでホテルの謎を解く
『廃深』はキャラクターを操作し、廃墟を調べ歩く。
マーカーがある場所を調べて、アイテムを集めていくポイント&クリックシステムを採用している。
アイテムには脱出に役立つものや、廃墟の秘密を解き明かすためのヒント(オーナーの手記、当時の新聞記事、壁のらくがき)までさまざまなものがある。
一部は非常にわかりにくいところにあり、筆者は探すのに苦労した。
これが広大なマップであれば諦めたくもなるが、調べる箇所も限られているので、サイズ感がちょうどよかった。
ちょっと、女子たち~~。殺人鬼に追われていないときも、小走りくらいさせて!
エンディングまでには数回パズルを解く必要がある。ランダム性はないため、苦手なプレイヤーは攻略サイトを参考にすればクリアできるはず。
奇をてらった演出はなく、ホラー定番の展開が多い。
取得するヒントにより、殺人鬼の正体や「ホテルイザナミ」に起こった悲劇の真実なども充分説明され、プレイヤーが内容をしっかり理解できるような作りになっている。
ただ、エピローグの3人の会話は完全に蛇足であり、廃墟脱出後はすぐに「噂話」で締めたほうがよかっただろう。
ところで「ホテルイザナミ」に、なにか意味はあったの?
うん、まあ、大人の事情については省くけど、最後の脱出シーンで、イザナギとイザナミの日本神話から超有名な場面がオマージュされていたわね!
着ぐるみ殺人鬼から逃げろ!
探索中に突如現れるのが「着ぐるみ殺人鬼」だ。
ナタを引きずる音、スマホのライトの点滅で存在を予兆させ、プレイヤーを見つけると走って追ってくる二段構えの演出が良い。
プレイヤーが殺人鬼に見つかった際、客室のトイレや柱に身を隠さなければ殺されてしまう。
逃げ場がないときは、殺人鬼にあえてナタを振らせ、下ろした隙にすり抜けて逃げることも可能だ。
ただし、ゲーム後半はナタを下ろしてから再び振り上げる動作が素早くなり、逃げるのがより難しくなる。
敵の追撃をかわして逃げるのは、横スクロールホラーでは定番のシステムで、過去に『クロックタワー』『返校』『The Coma』など多くのタイトルで採用されている。
『クロックタワー』はパニックボタン連打での回避があり、『返校』は怪異と遭遇する頻度が少ないわりにバリエーション豊かな点が良かった。
『The Coma』はあまりにも頻繁に敵が現れるのでうんざりした。
その点、『廃深』は緊張感を保てる程度に、ほどよい頻度で殺人鬼が出てくる。バランスが絶妙だった。
お色気多めのイラストCG(スチル)&うっかりタッチも?
発売メーカーqureateの『異世界酒場のセクステット』やライトノベルの挿絵を多数担当している乾和音氏がキャラクターデザインを担当。
3人のキャラクターもかわいく、きわどいCGも多数収録されている。
見えそうで……見え……あ、うっかりタッチしちゃ……(自粛)
着ぐるみ殺人鬼のクオリティも高く、狂気的に描かれていた。
音楽のミスマッチが残念
『廃深』で残念だったのが、音楽だ。
恐怖を煽る音楽は無難で、雰囲気になじんでいた。
ホラーとは緊張と緩和。
殺人鬼に追われる緊張が3人の掛け合いでふっと緩むところまではよかったのだが、そこで突如流れるBGMが明るい間の抜けた音楽で、雰囲気をすっかりぶち壊していた。
エンディングコンプリートまでのプレイ時間は6時間
『廃深』のエンディングは全部で5つ。
筆者がすべてのエンディングを見るまでのプレイ時間は6時間。
この価格帯としてはボリュームもほどよい。
ところどころで後戻りできない選択があるため、細かくセーブしながらプレイするとエンディング回収がスムーズに進む。
PS4版/Steam(PC)版の発売はあるか?
発売メーカーqureateの過去タイトル(『異世界酒場のセクステット』等)と同様、Switch版から約2ヶ月遅れでSteam版も発売された。
ゲーム内容からすると、qureateのSteam版では恒例の大人向けパッチはなさそう
PS4でリリース実績はなく望み薄だろう。(イラストCGがソニーの基準にひっかかると思われる)
総合評価
総評:良い
3/5
『廃深』(はいしん)は廃墟を舞台とした横スクロールのホラーアドベンチャーゲームだ。
一部見つけにくいアイテムやパズル要素もあるが、ホテルがなぜ廃業に追いこまれたのか、オーナーの手記などでプレイヤーに情報を与え、丁寧にストーリーを展開している。
殺人鬼の回避は難しくはなく、出てくる頻度もほどよい。ホラーならではの緊張感があった。
『廃深』はかわいいキャラクターが登場するホラーゲームを手軽にプレイしたい人におすすめのアドベンチャーゲームだ。
- わかりやすいストーリー
- 殺人鬼の登場頻度
- 優れたキャラクターデザイン
- 雰囲気をぶち壊す音楽
- 探索時の移動スピードが遅い
- 蛇足感のあるエピローグ
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