『SCARF(スカーフ)』評価・レビュー|ドラゴンと旅するダークアドベンチャー【感想】PR

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SCARF(スカーフ)評価・レビュー

SCARF(スカーフ)』は幻想的な雰囲気をまとったパズルアドベンチャーゲームだ。

主人公はドラゴンをスカーフのように首に巻き付け、さまざまな場所を旅する。抽象的なストーリーは頭を悩ませるが、スカーフの能力を駆使しながら、美しい自然や遺跡に触れる体験には心地よさがあった。

この記事では『SCARF』のレビューをお届けする。

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この先、一部ネタバレあり。

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ゲームレビュアー

えむ

  • 睡眠時間を削りがちな30代ゲーマー
  • 執筆したレビュー・攻略記事は100本超
  • プレイヤー目線から一歩踏み込んだレビューがモットー

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レビュー

ストーリーを理解するには「インク」集めが必須

ドラゴンは母とともに穏やかに暮らしていたが、反乱軍によって母が切り裂かれてしまう。彼らは母の力を使い、宇宙から逃げ出し、新しい世界へのポータルを作った。絶望のなかでドラゴンは主人公と出会い、助けを得る。

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主人公はドラゴンの力を使いながら、3つのステージにいる彼らからドラゴンの母の魂を奪い返し、すべての力を集めることになる。

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分かりやすい筋立てに見えて、その内容を理解するのは難しい

ストーリーが語られるシーンはオープニングとエンディングぐらい。ドラマの初回と最終回だけを見せられるようなもので、なぜこんな終わりを迎えたのかあっけにとられるかもしれない。

実は物語のスキマを埋めるにはステージに散らばった「インク」と呼ばれる回想シーンを集める必要があるのだ。インクによって語られる部分も非常に限定的だが、ドラゴンの母と集団の立場や物語の真相を理解するのに大いに役立つ。

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闇をまとったインクに近づくと画面がモノクロっぽくなる

任意のアイテム回収をしなければストーリーが理解しにくい作りはプレイヤーにやさしくない。インクに重要な意味を持たせるのであれば、回収を必須にするか、メインストーリーの語りを増やす必要があった。

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インクにふれると流れる回想
えむ

他にも絵、おもちゃなどの収集要素があるけど、おもちゃは謎だった……。

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おもちゃ

【ストーリー考察はこちら】
>>『SCARF(スカーフ)』ストーリー考察を読む

カジュアルな操作で爽快感のあるプレイフィール

本作はパズルとジャンプアクションを組み合わせた作りになっている。

難解なパズルはなく、直感的に分かるものや壁面にヒントが描かれていたりするので、詰まってしまうことは少ないだろう。

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壁画がパズルのヒントになる場面

気になったのは飛散したアイテムを集める場面。どこに飛んだかはムービーでのみ示されるため、手当たり次第探すのがやや手間だった。

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吹き飛ばされるアイテム

ジャンプアクション部分は快適でシビアな操作が要求されることもない。スカーフの能力を使ったアクションは楽しく、スカーフをゴムに見立て、張力を使って主人公の身体を遠くに飛ばしたり、空中のオブジェクトに引っ掛けてターザンロープのように使うなど、スカーフという素材も活かされている。

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スリングに身体を預ける
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ターザン的な使い方も

特に楽しかったのがスカーフを翼として使うグライド。ゆっくりと景色を眺めながら空を飛ぶのは爽快感があり、必要のない場面でも積極的にグライドを使いたくなった。

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ニコニコでグライドを使う主人公
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グライドで景色を眺めるのも楽しい

ウォーキングシム的に楽しめる自然と遺跡

ステージは海(オーシャン)、砂漠、森の3つだ。どのステージもシンプルで美しく、探索するのが楽しい。

透き通った海はアイテムを使うことで水を避け、隠されていた海底遺跡を歩き回れるようになる。

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海底遺跡

砂漠のステージでは砂とゴツゴツとした岩肌に囲まれた世界に突如として現れる巨大な遺跡に仕掛けられたパズルを解く楽しみがある。

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砂漠のなかの遺跡

森のステージでは多くの木々に囲まれた大自然と同化するように朽ちかけている遺跡のなかでアクションを駆使しながら進んでいく。

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森には滝や湖もある

前述したインクを集めるためにいろいろなところを探索する必要があるため、歩き回るだけでも楽しめるのは重要なポイントだ。とはいえ、遺跡や自然といった要素は共通している部分があり、終盤には少し飽きも感じた。

えむ

マップがないから、今ドコ?状態になることが多かったかな。

【ネタバレ】ストーリー考察

エンディングまでのネタバレが含まれるため、未プレイの方は飛ばしてください。
>>次にジャンプする

ストーリーを理解するには「インク」によって描かれるもうひとつの物語を見ておく必要がある。

主人公がインクに近づくとスカーフが締まり、その先に進むことを拒むシーンが毎回挿入される。つまり、インクはドラゴンにとって「見られたくないもの」だと言える。

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スカーフによって首が締まる主人公

オープニングでドラゴン親子が善、反乱軍が悪だとイメージ付けされているが、インクを追っていくと、その見方は間違っているのだと気づく。

ドラゴンの欠片からは創造の種が芽吹いた。反乱軍と呼ばれる集団は新たな世界を築きはじめる。

ドラゴンは反乱軍から自由を取り上げるべく、主人公を自らの欠片(スカーフ)で武装した勇者として遣わした。

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しかし、インクを見て真相を知った主人公は溜め込んだインクのパワーをエンディングでドラゴンにぶつけ、反乱軍は自由を得る。

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インクに侵食されている主人公
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反乱軍もドラゴンの立場になり得るという示唆に富んだエンディング

物事の見方はその人が持つ情報によって大きく異なる。ドラゴンの話だけ聞けば、集団は反乱軍でしかない。しかし、実態は絶対的な王として君臨したいドラゴンと自由を得たい民草の戦いとも取れる。

出来事をどう捉えるのか、本質はどこにあるのか、一方的ではなく複数の視点で物事を捉えることの大切さを、本作は示したかったのではないだろうか。

総合評価

『SCARF』は自然の美しさを味わえるパズルアドベンチャーだ。

ドラゴンをスカーフに見立て、その力を駆使したアクションは楽しく、パズルの難易度が低いため、カジュアルにプレイできる。

ストーリーが語られる部分は少なく、「インク」と呼ばれるアイテムに依るところが多い。海や砂漠、森といったステージの美しさによって探索する楽しみはあるが、任意の収集アイテムを集めなければ、物語を理解しにくい作りなのは難点だ。

本作は緻密なストーリーよりもカジュアルに楽しめるパズルアドベンチャーを求めるプレイヤー向けのタイトルだ。

グッドポイント
  • スカーフを使った爽快アクション
  • 遺跡と自然の美しさが味わえるステージ
ウィークポイント
  • アイテムを集めなければ理解しにくいストーリー
おすすめタグ

カジュアル

『SCARF』

  • 対応機種:PlayStation 4 & 5、Xbox One & Series X|S、PC
  • 発売日:2023年7月6日(PS/Xbox)、2021年12月23日(Steam)
  • 発売元:HandyGames
  • 開発元:Uprising Studios
  • ジャンル:パズルアドベンチャー
  • 筆者プレイ時間:4時間
  • レビュー時のプレイ機種:PS5 (ver1.1)

※2023年9月5日時点

えむ

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このページで使用している『SCARF』のゲームキャプチャ画像は Uprising Studios / HandyGames の著作物です。転載、配布等は禁止いたします。

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