『El Hijo – A Wild West Tale (エル・イホ)』は西部開拓時代を舞台にしたアクションアドベンチャーゲーム。
プレイヤーは少年を操作して、ステージにあるギミックを上手く使いながら、ステルスを駆使してクリアを目指していく。
本作はシンプルなゲームシステムだが、さまざまな工夫がなされており、ストーリーも王道でおもしろく、優れている。
この記事では、5つのポイントを上げながら、PS4版『El Hijo – A Wild West Tale』をレビューしていく。
ジャンル | アクションアドベンチャー |
発売元 | HandyGames (公式サイト) |
開発元 | Honig Studios Quantumfrog |
プラットフォーム | Nintendo Switch PlayStation 4 Xbox One PC(Steam) iOS Android |
発売日 | Switch:2021年3月26日 PS4:2021年3月26日 Xbox:2021年3月25日 Steam:2020年12月4日 iOS:2022年1月25日 Android:2022年1月25日 |
プレイ時間 | 6.5時間 |
- 変わったギミックのステルスに興味がある人
あらすじ
エル・イホは母とともに父の墓に花を手向けた。
2人が帰ろうとすると、家は悪人たちによって燃やされてしまった。
エル・イホは安全のため、修道院に預けられてしまう。
母を求めて、エル・イホは修道院からの脱走を試みる。
シンプルだがおもしろいステルス
『El Hijo』のステルスアクションはおもしろい。操作はかんたんだが、工夫が感じられる。
基本システム
相手を倒すことはできず、壺や壁などの隠れられるアイテムや暗闇を上手く使いながら、進んでいく。
鳥を飛ばすと画面がズームアウトし、少し先の様子まで把握できる。(マップ全体は表示できない)
敵の視界(黄色で表示)や隠れられるポイントやアイテム(青丸で表示)も確認できる。
武器はなく道具を携えて進む
エル・イホは小さな子どもだ。
腕力で敵をねじ伏せたり、拳銃をぶっ放すこともできない。
その代わり、子どもならではのアイテムが使える。(使用回数が限られるものもあり。ステージ内の箱から補充する)
アイテムは最初からすべて使えるわけではなく、ステージを進むごとに徐々に取得していく。
石
敵の近くに投げたり、物にぶつけて敵の気を引く。のちにパチンコをゲットすると用途が広がる。
ぜんまい式のおもちゃ
敵の気を引く。石には反応しない敵でもおびき出すことが可能。
サボテンの花
大量の花粉に紛れて自らの姿を隠す。
ソンブレロ
その場でソンブレロの中に隠れる。使うとなかなかシュールな絵になる。
いや、さすがにバレるでしょ!
花火
敵の周辺に放つと気絶させることが可能。木箱などの破壊も可能。
プレイヤーを飽きさせない仕掛け
シンプルなゲームだが、プレイヤーを飽きさせないギミックが良い。
ちょっと複雑になる仕掛け
ゲーム中盤からは隠れて進むことにプラスして、何かを操作することが増える。
スイッチを使って進路を変える台車やトロッコを使って進むステージは、何度も往復しながらエル・イホが進む道を作っていくのがおもしろかった。
スリリングなトロッココースター
トロッコに乗って進むステージもある。
後ろから敵が追ってくるため、アクセル全開で逃げ切りたいのだが、それだとカーブで横転してしまう。
クリアするためには上手くアクセルを抜かなければいけない。
トロッコレースは通常のステルスとはまた違ったスリリングさがあり、興奮した。
『スーパードンキーコング』シリーズのトロッコ面っぽい
開発のシャレが笑える
シャレも気に入った。
ステージにいるニワトリに花火が当たると突然丸焼きに早変わりする。
これだけでもおもしろいのだが、なんと敵が丸焼きにかぶりつくのだ!
なんてバカバカしい演出……好き……!
操作キャラクター変更
ゲーム途中で操作キャラクターが母に交代する。
一部分は母視点でストーリーが進むのだが、母が切り抜けた道を後からエル・イホが通るときは感慨深かった。
操作面でも違いがあり、エル・イホが飛び越えられない箱を母は軽々飛び越え、棒につかまって敵をやり過ごすことも可能だ。
砂漠地帯の崖に突如出現するつかまり棒!!
シンプルさゆえ、プレイ慣れしてきた中盤は少し飽きを感じてしまったが、使えるアイテムが増え、サービス精神満載の仕掛けが出てくると再びおもしろくなった。
リトライは快適
『El Hijo』はいわゆる死にゲーだ。ミスをして試行錯誤しながら、クリアを目指していく。
死にゲーで重要なのはすぐリトライできるかだ。
本作にはクイックセーブはないが、セーブポイントが細かく設定されている。
そのため、失敗したところからすぐにやり直しができる作りだ。
失敗してもストレスが溜まることは少ない。
言葉や文字がなくても伝わるストーリー
『El Hijo』はストーリーを語る文字もなければセリフもほぼない。それでも物語は理解できる。
カートゥーン調のムービーがとても優れており、豊かな表情は言葉よりも雄弁だ。
エル・イホと母がお互いを思いやっている様子は強く伝わる。
母の残したアイテムをエル・イホが使うシーンも泣きポイント
やりこみ要素《子どもを励ます》で難易度アップ
『El Hijo』のやりこみポイントは主に2つ。
- 敵に見つからずにクリア
- 子どもを励ます
「子どもを励ます」を達成するようにプレイすると難易度がアップする。
まず、ステージには数人の子どもがおり、労働させられている。
子どもたちの居場所はだいたい横道を進んだところにあり、警備も頑丈だ。
普通にステージをクリアするよりも子どもを助けてクリアするほうが回り道かつ、難しい敵配置になっている。
エル・イホは子どもたちに話かけて励まし、ツラい状況を少しでも楽しませようとする。
その結果として、アイテムをもらえることもあるが、子どもたちを元気づけられたときの喜びのほうが大きい。
子どもを励ました人数によってギャラリーが解放され、本作のアートワークが見られるようになる仕組みだ。
プレイ時間は6時間半で程よい
筆者が『El Hijo』をクリアするまでのプレイ時間は6.5時間。
ロープライス帯のゲームとしては程よいプレイ時間だと感じた。
ゲームシステム自体は大きく変わらず、ストーリーもシンプルであるため、余計に引き伸ばさなかったのが良かった。
筆者は途中で何度か行き詰まってあれこれ試したり、子どもを全員救うためにステージをやり直した時間があるため、ステルスゲームに慣れているプレイヤーならもっと短時間でクリアできるだろう。
総合評価
総評:非常に良い
4.5/5
『El Hijo – A Wild West Tale』は西部開拓時代を舞台にしたステルスメインのアクションアドベンチャーだ。
小さなエル・イホが母のために危険を冒しながら冒険するストーリー、セリフや文字がなくとも伝わるカートゥーン調のムービーはワクワクする。
敵を倒す術のないエル・イホが、おもちゃや花粉など子どもらしいアイテムと暗闇を駆使して進むのがおもしろく、シャレの効いた小ネタなどプレイヤーを飽きさせない工夫が感じられた。
本作はアクション、アドベンチャーどちらのファンにもおすすめできる優れたステルスゲームだ。
- セリフや文字がなくても伝わるストーリー
- シンプルながら工夫されたゲームシステム
- 飽きさせない中盤以降のギミックの追加
- 早いリトライ
- アイテムの少ない中盤で飽きを感じる
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