『DE-EXIT – Eternal Matters』は死後の世界を旅するアドベンチャーゲームだ。
主人公は救世主(ルクス)となって、混乱に陥った死後の世界を守るために奮闘する。パズルアドベンチャーが主体ではあるが、中盤はジャンプアクションも多く、プラットフォーマーの要素も強い作品だ。
この記事では『DE-EXIT – Eternal Matters』のレビューをお届けする。
本記事はTHQ Nordic Japanから商品を提供いただき、作成しています。
レビュー
中盤まで謎が多いストーリー
主人公は名も無いガイコツだ。他のガイコツたちが無惨に転がる空間に放り出され、無我夢中で進んだ先でアセムと名乗る男に出会う。
彼いわく、この空間は死後の世界・記憶の飛行船なのだという。男の指示に従ってポータルへ向かうと最後の安全地帯であるネクサスへと飛ばされる。
ネクサスの長老の話では、記憶の飛行船には4本の柱があり、9人の守護者がいた。しかし、ある守護者の裏切りによって、多くの守護者が葬られた。守護者に空席があるとき、飛行船にやってきたものはルクスと呼ばれ、守護者の役割を引き継げる。
主人公は死後の世界を守る救世主・ルクスとして各地を訪れ、4本の柱に光を灯し、記憶の飛行船を救うのが本作の目標だ。
作中ではさまざま場所を訪れ、先行して現地に赴いている調査隊の仲間と協力しながら進んでいく。
問題は、筆者がいまいちストーリーに入り込めなかったことだ。
肝心のメインストーリーが終盤近くまで動かない。ガイコツたちを救うために危険なステージに向かうことに疑問も持たなければ、口答えもしない。自らの存在が消え失せるかもしれないなんて気にもせず、愚直に言われたことを実行する。利他的と言えばそれまでだが……。
主人公がなぜ危険を冒して行動するのか。理由が希薄だ。なぜ自分だけがこんな目に遭わなければならないのか、疑問で頭がいっぱいになり、結末までに集中が途切れてしまった。
チャプター5の中盤から終盤にかけて語られる守護者の心境は痛々しく、胸に迫るものがあった。終盤のドラマチックな展開にも引き込まれた。チャプター間で少しずつ秘密が明かされていけば、興味も持続しただろうし、ストーリーをより味わい深く感じただろう。
たまに詰まるパズルと頻度の多いアクション
本作はプラットフォーマーの要素を多分に含んだパズルアドベンチャーだ。
序盤は箱を移動させてスイッチを押して、橋をかけたり、動力源となるオブジェクトを駆使してドアを開けるなどシンプルなパズル要素が続く。
そのうちに主人公はアーティファクトと呼ばれる装備を得て4つの行動が可能になる。
- 特定のオブジェクトを起動するライト
- 身近なものを破壊できるツール
- 遠隔でオブジェクトを動かせる能力
- 短時間だけ宙に浮いて移動できる能力
これらの能力とパズルが組み合わさっていき、終盤にかけて難易度が上がっていく。
筆者はチャプター2の途中で行き詰まってしまい、悪戦苦闘した。海外の攻略動画のおかげで先に進めたが、詰まった部分ではもう少しヒントを与えてほしかった。
それ以外のパズル要素は根気よくやればクリアできたから、私の思考がたまたまチャプター2のパズルと合わなかったのかも……。
本作の特徴としてプラットフォーマーとしての側面が強いことが挙げられる。パズルアドベンチャーの類似作品に比べてアクション比率が高く、中盤以降のボス戦では攻撃をかわすために飛び地をひたすらジャンプで移動するパートがある。
ある程度パターンを記憶しなければならない仕様かつ、リトライ時の再開ポイントがかなり前からなので、プラットフォーマーが苦手なプレイヤーは苦戦するだろう。
せめてリトライポイントの間隔がもっと短かったら良かったなー。
ステルス要素として、カクレと呼ばれる敵に見つからないように進んでいくパートがある。カクレはライトで照らさないと見えないが、光でカクレに見つかってしまうため、ライトはこまめに使わなければならない。
ライトが見つかった瞬間に襲われるわけでもなく、ある程度猶予がある。追いかけられても草むらに隠れれば回避もできるため、ステルスの難易度は低めだ。
プラットフォーマーが好きでパズルアドベンチャーが好きな人に合う感じかな。
ボクセルが作り出す雰囲気
本作の一番の魅力はボクセルを生かしたビジュアルだ。ボクセルとは立方体のことで、有名どころでは『マインクラフト』など、かわいらしくも味わいのある作品が多い。
本作のキャラクターやオブジェクトもボクセルグラフィック。記憶の飛行船にいるガイコツたちの陽気なキャラクターとボクセルの愛らしさがマッチして、死後の世界を明るく描き出している。
茶目っ気のあるキャラクターが多く、いろんなガイコツたちに話しかけるのも楽しかった。主要キャラクターには英語音声が付いており、声優の演技によってキャラクター像が補完されていた。
ベンチに座って、ガイコツたちの生活をのんびり眺められるのも良かった!
キャラクターによってはカラフルなガイコツもおり、カラベラをモチーフにしているようにも感じられた。
メキシコの民芸品。”死者の日”などで飾られるガイコツを指す。
カラベラも陽気なものが多いから、死後の世界で楽しく生活している本作のガイコツたちと通じるものがあるね。
BGMは神秘的な雰囲気のあるアンビエントなものが多く、アーティファクト使用時の電子音的なSEとのバランスが良かった。
総合評価
『DE-EXIT – Eternal Matters』は死後の世界を描いたパズルアドベンチャーだ。
死者が暮らす”記憶の飛行船”の危機を救うメインストーリーは中盤まで盛り上がりに欠け、停滞感が否めなかった。しかし、終盤に向けて一気にストーリーが動き出すと守護者が苦悩する様子に胸を打たれる。
パズルよりもジャンプアクションに重点が置かれたセクションもあり、パズルとかんたんなアクションを求めていたプレイヤーは肩透かしを食うだろう。
ボクセルグラフィックは愛らしく、陽気なガイコツたちとも相性が良かった。記憶の飛行船を歩き回り、会話を繰り返すことで楽しい死後の世界を満喫できた。
”死”というテーマに興味があり、プラットフォーマーとパズルアドベンチャーに慣れたプレイヤーにおすすめできるタイトルだ。
- 終盤のストーリー展開
- 愛らしいボクセルグラフィック
- 中盤まで停滞するストーリー
- やたらと繰り返されるジャンプアクション
ボクセル
フォトジェニック
『DE-EXIT – Eternal Matters』
- 対応機種:PlayStation 4 & 5、Xbox One & Series X|S、PC
- 発売日:2023年4月14日(PS/Xbox)、2023年4月15日(Steam)
- 発売元:HandyGames
- 開発元:SandBloom Studio
- ジャンル:パズルアドベンチャー
- 筆者プレイ時間:10時間
- レビュー時のプレイ機種:PC
※2023年5月8日時点
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