『A Juggler’s Tale(ジャグラーズ・テイル)』レビュー|あやつり人形たちが送るシニカルなパズルアドベンチャー【評価・感想】

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『A Juggler's Tale』評価・レビュー

A Juggler’s Tale(ジャグラーズ・テイル)』は人形劇を模したパズルアドベンチャーゲームだ。

プレイヤーが見ているのはパブで上演されている人形劇。キャラクターたちは頭上から糸で吊られ、ある男の語りによってストーリーは進行する。描かれるのは小さなサーカス団の一員として暮らすアビィの脱出劇なのだ。

あやつり人形という設定を活かしたギミックと饒舌な語りがプレイヤーをゲームの世界に引きずり込む。ストーリー展開とゲームシステムががっちり噛み合った作品だ。

本記事では『A Juggler’s Tale』のあらすじを紹介した後、ゲーム内容をレビューしていく。

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ジャンルシネマティックアドベンチャー
発売元Assemble Entertainment(Steam)
Mixtvision(Xbox)
H2 INTERACTIVE(PS/Switch)
開発元kaleidoscube
プラットフォーム
(ストアリンク)
Nintendo Switch
PlayStation 4 & 5
Xbox Series X|S & One
PC(Steam)
発売日Switch:2021年12月2日
PS:2021年12月2日
Xbox:2021年9月30日
Steam:2021年9月30日
プレイ時間2時間
※2023年1月3日時点
こんな人におすすめ
  • シニカルな作品が好きな人

ストーリーの一部ネタバレあり。

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運営者情報
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ゲームレビュアー

えむ

  • 睡眠時間を削りがちな30代ゲーマー
  • 執筆したレビュー・攻略記事は100本超
  • プレイヤー目線から一歩踏み込んだレビューがモットー

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『A Juggler’s Tale』あらすじ

町の小さなサーカス団で暮らすアビィはその一員として”えらい人”にこき使われていた。

『A Juggler's Tale』評価・レビュー|芸を披露させられるアビィ

芸の後、オリに入れられたアビィは動物たちの助けを得て、外の世界へと飛び出す。

『A Juggler's Tale』評価・レビュー|檻に閉じ込められるアビィ

危険をくぐり抜け、まだ見ぬ自由を目指して。

『A Juggler’s Tale』レビュー

人形劇を模した”糸”の使い方がおもしろい

『A Juggler’s Tale』は人形劇として描かれている。プレイヤーが操作するアビィをはじめとして登場人物や動物も糸に吊るされ、あやつり人形風の動きを見せるのだ。

糸はキャラクターの頭上でキラキラと輝いて、ビジュアル的に目を引き、ギミックとしても機能している。

たとえば、アビィの上に何かしらのオブジェクトがあった場合、糸が引っかかってアビィは先に進めない。

『A Juggler's Tale』評価・レビュー|糸のギミック
頭上のオブジェクトに糸が引っかかり進めないアビィ

ストーリー序盤は単なる足止めとして使われることが多いが、終盤は他キャラクターの糸を上手く利用して進むシーンもある。

糸はまた、アビィが劇中の人物であることを印象付ける。

アビィをクマに突っ込ませるとパッと糸が引かれ、アビィが上空に持ち上げられる。川に飛び込んだ途端に引き上げられるなど、危険が及ぶとナレーションの注意とともに自動的に回避され、ゲームオーバーにならない(ある地点まではという限定付きだが)。

『A Juggler's Tale』評価・レビュー|語り手は直接介入してくる
危険が迫ると糸が引かれ、強制的に回避させられる

人形劇として描かれているのは雰囲気作りかと思っていたが、終盤の展開に大きく関わってくる。

秀逸な語りが舞台のすべてを支配する

『A Juggler’s Tale』で描かれるアビィの冒険はパブの一角で披露される劇中劇といったところだ。

『A Juggler's Tale』評価・レビュー|パブの様子
パブのお客様たち
『A Juggler's Tale』評価・レビュー|パブに用意された舞台
パブのなかに設置された”舞台”

ジャックと名乗る語り手の男は口上を述べて衆目を集め、物語を語り始める。

プレイヤーがアビィを操作している間も男は状況を解説し、情感たっぷりにアビィの心情を描写する。そのなめらかな語り口がプレイヤーを作中の世界に引き込んでいく。

物語を語るだけではなく、糸を引き上げてアビィを助けたり、ヒントを出したり、危険が迫っていることを語るなど、アビィの脱出をサポートする反面、ACT1からところどころに毒気を感じさせるセリフも……。

『A Juggler's Tale』評価・レビュー|口の悪い語り手
助けてくれたクマに対して毒を吐く語り手

ACT2ではプレイヤー(アビィ)が自分のアドバイスを聞かないと見るやアビィを突然引っ張り上げて叱責するなど、徐々に本性をあらわしていく。

ACT2のあるシーンでは語り手のなかで決まりきったストーリーをプレイヤーの手によって乱す。ここが物語の分岐点となっている。

『A Juggler's Tale』評価・レビュー|語り手の意図に反することは認められない
舞台の上では語り手がルールとなる

その後のアビィの歩みに応じて語り手も徐々に変化していくのだが、それは本作をプレイしてのお楽しみ。

語り手の感情豊かな演技はアビィを通してプレイヤーまでをも飲み込もうとする。本作の大きな魅力だ。

えむ

日本語音声はないから、アクションが多いシーンでは字幕をゆっくり読めないのが残念なポイントかな。

かんたんパズルでストーリーに集中できる

『A Juggler’s Tale』はアビィの行く手を阻む仕掛けを解いて進んでいくシステムであり、パズルアドベンチャーに分類できる。

とはいえ、パズルと呼べるほど凝った仕掛けは少なく、オブジェクトを動かしたり、物を投げたりとシンプルなものが多い。

『A Juggler's Tale』評価・レビュー|箱を押すアビィ
箱を押すシンプルなインタラクション
『A Juggler's Tale』評価・レビュー|追手から隠れるアビィ
追手から逃れるときにはステルス要素も

アビィが逃亡の途中であることや語りのテンポ感を考えると詰まってしまうような仕掛けは好ましくない。

本作ではパズルをアクセント的に配置し、ストーリーの流れを途切れさせずにゲーム的なインタラクションも楽しめる。バランスの良さが際立っていた。

えむ

使用するオブジェクトが舞台に溶け込んでいて分かりにくいところが数カ所あって、ちょっと困ったね。

『A Juggler’s Tale』総合評価

えむ

総評:非常に良い

4/5

『A Juggler’s Tale』は人形劇を模したシネマティックなアドベンチャーゲームだ。

糸で吊られたキャラクターたちはあやつり人形のように動き、糸がオブジェクトに引っかかって足止めされるなど、”人形劇”っぽさにこだわりを感じた。

舞台で起こる出来事を情感たっぷりに披露する語り手の演技は素晴らしく、プレイヤーの没入感を高めている。

人形劇や語りには全体を通して重要な意味を持たせており、示される”回答”は満足いくものだった。

本作はちょっとシニカルでストーリー重視のパズルアドベンチャーが好きなプレイヤーにおすすめのタイトルだ。

グッドポイント
  • クオリティの高い”人形劇”
  • プレイヤーを没入させる感情豊かな語り
  • ストーリーの流れを阻害しないパズル
ウィークポイント
  • アクションをしながら字幕を読むのが難しい
  • 一部分かりにくい仕掛け

レビュー時のプレイ機種:PC(Steam)

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えむ

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このページで使用している『A Juggler’s Tale』のゲームキャプチャ画像は kaleidoscube / Assemble Entertainmentの著作物です。転載、配布等は禁止いたします。

『A Juggler's Tale』評価・レビュー

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