『REANIMAL』は、小さな姉弟が不気味な島を探索しながら、行方不明の友だちを探すホラーアドベンチャーだ。
うっすらと霧が立ちこめる暗闇が支配する世界で、姉弟は異形の者たちから身を隠しながら進んでいく。途中で出会う気味の悪い敵のビジュアルと巧みな演出が恐怖を増幅させ、先へ進むのを躊躇わせるほどの圧迫感を生み出す本作は、ホラー特有の厭な気配を身にまとっている。
この記事では『REANIMAL』のレビューをお届けする。
本記事はTHQ Nordic Japanから商品を提供いただき、作成しています。
欠かせないのは姉弟の協力
本作の主人公は、孤児の姉弟だ。ふたりは廃墟のような建物を彷徨いながら、行方不明になった友だちを助け出していく。行く先々で不気味な怪物に襲われながらも、力を合わせて島からの脱出を目指す。

ジャンプして高いところに上ったり、鍵を探したり、スイッチを押すといったオブジェクトの操作を駆使して先へと進んでいく。基本的に難しい操作は要求されない。
協力プレイに対応しており、姉弟をそれぞれ操作できる。シングルプレイでは主に弟を操作することになる。高い段差で姉を先に上らせて弟を引っ張り上げたり、ひとりでは動かせないものをふたりで動かしたりと、協力が必要なシーンは数多くある。

敵から隠れながら進むステルスや追いかけられるシーンも多く、小さなふたりが力を合わせて逃げ延びるスリルが味わえる。
気力をへし折る不気味な怪物
本作は不穏な気配に満ちている。冒頭、弟がひとりでボートを漕ぐシーンでは、暗闇のなかでチカチカと光るブイを目指して進んでいく。うっすらと聞こえてくるダークでアンビエントな音楽にときおり混じるのは、ブイの下に設置されている鐘の音だ。その響きに不安が募り、心細さを感じさせる。

小さく非力な姉弟に対して、舞台装置はかなり大きい。電車の椅子の座面の高さはふたりの肩ぐらいあるし、机の上のものに触れようとして背伸びするぐらいだ。とてつもない巨大な廃墟に圧倒され、無力感を抱きながら進んでいくと、さらに心をくじかれるのが序盤で登場する敵・スニッファーだ。
スニッファーは帽子をかぶった巨人で、主人公たちの何倍も大きい。体格差だけでも怖い。それに加えて動きも気味が悪い。首を90度横に曲げたかと思ったら、ぐにゃぐにゃと身体を動かしながら姉弟に迫ってくる。序盤にスニッファーにバレないように物陰に隠れて進むシーンがあるのだが、見つかったときの絶望感が嫌すぎて、もうこのゲームをやめようかなと思ったほどだ。


裸の人の形をした皮のような敵も不気味だ。蛇のように地面を滑り、集団で迫ってくる姿は異様で怖い。棚に入っていたり、電車の座席に座っていたりとどこにでもいるのだが、とびきり気持ち悪かったのがトイレのなかだ。ラバーカップで便器のつまりを直すと、ズルズルと皮のような敵が引き出される。生理的にかなり気持ち悪く、忘れられないシーンだ。



人型のものが家畜のように吊るされて血抜きをされているシーンや、ハエが集っている大きな豚の首が赤くライトアップされるなど、嫌悪感を催す場面はほかにもある。それらを見た後は嫌な気持ちをずっと引きずってしまう。強烈な体験だった。
スニッファーが皮のような敵をアイロンで伸ばしていたシーン、マジで怖くて鳥肌が立った……。



ランプシェードでも作るのかと思ったわ。
エド・ゲインかよ……(人間の皮からランプシェードを作った実在のシリアルキラー)。
恐怖を増幅させるカメラワーク
カメラワークも秀逸だ。俯瞰で見せながら次に進む方向を緩やかに指し示したり、薄気味悪さのなかにも朽ちていく美しさを感じさせる建物を映し出したりする。
主人公たちが逃げるシーンではキャラクターが画面手前に配置され、画面奥から追ってくる者たちが迫ってくる。車で逃走するシーンでは逆に主人公たちが乗った車を画面奥へ走らせるのだが、進むべき道を車で隠すような構図になっている。いずれも追われる緊迫感を高める設計で、焦りが恐怖をさらに増幅させた。




一面に広がるオレンジの花と薄暗い青空のシーンは映画『ミッドサマー』のビジュアルを思わせる。巨大な鳥に混じってすさまじい数の鳥が追いかけてくるシーンではヒッチコックの映画『鳥』を想起した。ホラー映画的な画作りが随所に感じられた。







不審なトラックの上にアイスクリームの看板を見つけたとき、都市伝説を思い出してギクっとしたわ。
私は伊藤潤二のホラー漫画『アイスクリーム・バス』を思い出した!


飽きのこないステージ構成と余白のある物語
廃墟の探索が続く序盤を経て、途中からはボートに乗って進む場面が現れる。行く手を阻む水雷や異形の者たちを銛のようなもので倒していく場面は即死の恐怖と隣り合わせのスリルがあり、爽快感もある。建物の探索とボートでの移動が交互に現れることで、単調にならず飽きのこない作りになっていた。


ストーリーとしては「姉弟が友だちを助ける」以上の情報はなく、会話もかなり少ない。物語の余白は大きく、わかりやすいメッセージもない。まずはホラーゲームとして雰囲気を味わい、それからじっくり考察するのがおすすめだ。
壁に貼られたポスターが収集要素となっており、集めることでアートワークが閲覧できる。ステージ内で見つけた仮面は付け替えが可能で、ポスターと同じくコレクションできる。


筆者のプレイ時間は5時間45分だった。さまざまな場所を見て回ったため、ストーリーを追うだけならもう少し早くクリアできるだろう。
総合評価
『REANIMAL』は、優れた雰囲気を持つホラーアドベンチャーだ。
異形の者たちが潜む暗闇を最適なカメラワークで切り取り視覚的な恐怖を生み出し、不穏な音楽で聴覚をねっとりとした恐怖が襲う。主人公たちを通してプレイヤーも追い詰められていく密度の高いホラーが味わえる。敵の造形はおぞましく、先に進むのを躊躇うようなシーンもあるが、余白のあるストーリーに引っ張られてプレイしたくなる。
ホラー好きにはぜひ遊んでほしい一作だ。
- 恐怖を生み出す巧みな演出
- 不気味で嫌悪感を抱く敵の造形
- 単調にならないステージ構成
とくになし
『REANIMAL』
- 対応機種:Nintendo Switch 2、PlayStation5、Xbox Series X|S、PC
- 発売日:2026年2月13日
- 開発元:Tarsier Studios
- 発売元:THQ Nordic
- ジャンル:ホラーアドベンチャー
- 筆者プレイ時間:5時間45分(エンディング到達まで)
- レビュー時のプレイ機種:PlayStation5
※2026年2月24日時点
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