《
100年に1度、町に死者がよみがえる。死者は自分が死んでいることに気づかないまま、生者に混じって生活をしている。
そして夏の終わり、彼らは正気を失い、突如生者に襲いかかってくるのだ。
『ワールドエンド・シンドローム』は地方の町に転校した主人公が少女たちと交流しながら、町に伝わる《
ヒロインたちはそれぞれ秘密を抱えており、ミステリー要素が多い。
シナリオをクリアするたびにかえって謎が深まっていき、最後の最後に真相が解き明かされる。
ギャルゲーとしてだけではなく、ミステリーとしても楽しめるゲームだ。
この記事では『ワールドエンド・シンドローム』のレビューをお届けする。
ジャンル | ミステリー×恋愛アドベンチャー |
メーカー | アークシステムワークス TOYBOX Inc. |
プラットフォーム | Nintendo Switch PlayStation 4 PlayStation Vita |
発売日 | Switch:2018年8月30日 PS4:2018年8月30日 PSV:2018年8月30日 |
- オカルト好きな人
- イチャつきシーンは少なめでもOKな人
ストーリー
主人公は《
同級生の誘いで、担任の山城先生が顧問を務めるミステリー研究会に参加することになり、町に伝わる《
メンバーの美少女たちとの交流を通じ、徐々に明るさを取り戻していく主人公だったが、その裏では女子高生連続失踪事件が起こっていた。
ミステリー研究会の親睦会に参加した後、バーベキューの片付けをしていると、川を流れてきたカバンに気がつく。それは、失踪した女子高生の持ち物であった……。
ヒロイン紹介
楠瀬 舞美
主人公の従妹で、ひとつ屋根の下で暮らすことになる。
学業優秀で運動神経も良いが、がさつな性格が玉にキズ。
元気な性格で困っている人をほっておけないやさしさもある。
音無 雪乃
《
ひょんなことから主人公、舞美と同じ家で暮らすことになる。
ヒロインのなかでは唯一の年上キャラクター。飄々とした性格で主人公を元気にしてくれる。
神代 沙也
ツンデレキャラ。
プライドは高いが、陰の努力家で、神代家のことを第一に考えている。二階堂玲衣とは大の仲良し。
甘奈 未海
無口で、他人と距離を取っている。
兄のカフェ・パスティーシュでウエイトレスとして働いている。
人を寄せつけない態度を取り、事あるごとに「変態」などと罵倒してくる。だが、そこがイイ!
未海、もっと言って!!!(筆者は未海推し)
山田 花子
挙動不審で、緊張すると「ござる」口調で話す。
夏季限定でミステリー研究会に参加する。
《
二階堂 玲衣
映画「ワールドエンド」の撮影のため、
オフには急遽サイン会を実施するなど、ファンを大切にしている。
撮影には並々ならぬ意欲で望んでおり、マネージャーから心配されることも。
ミステリー7割・ギャルゲー3割
『ワールドエンド・シンドローム』は《
《
普通であれば、ヒロインを攻略するごとに謎が明かされそうなものだが、このゲームではかえって謎が深まるので、続きが気になってどんどん進めてしまう。
ヒロインを全員攻略すると同時に、連続失踪事件の犯人が捕まり、すべての謎が解き明かされたかと思いきや……その先がまだある。
《真相編》では、主人公に関わる大きな秘密が明かされ、驚かされる。
《真相編》をクリアした後、もう一度最初からプレイすると、一見意味のない物のなかに伏線が隠されていることに気づく。何度も周回プレイをして伏線を探すのも楽しい。
ヒロインたちと楽しい時間を過ごす中で、連続失踪事件や
それぞれが隠している秘密もあり、それがミステリアスな魅力となってヒロインをより一層魅力的に見せている。
ストーリーの主軸はミステリーであり、ギャルゲーにしては恋愛エピソードは少ない。ミステリー好きの人におすすめのゲームだ。
イチオシのヒロインは甘奈 未海
私の推しは未海!
『ワールドエンド・シンドローム』で一番魅力的なヒロインは未海だ。
制服姿、私服、メイド服とそれぞれの魅力がある。かわいい。
主人公は常に冷たく扱われ、時には罵声を浴びせられることもある。かわいい。
自己嫌悪で同情を引く主人公にしっかり向き合えと叱責してくれる。かわいい。
かと思えば、ルート終盤ではデレ感全開になる。超かわいい。
弱さを見せないようにふるまっている未海が、時折見せるかわいい部分とのギャップに魅了されるプレイヤーは私だけではないはずだ。かわいい。
初回プレイで必ず経験するWORST END(ワーストエンド)
初回プレイでは、必ずWORST END(=バッドエンド)を迎えることになる。
序章の終盤で、主人公はミステリー研究会の顧問・山城先生から部員を増やしたほうがいいか聞かれる。
このときは選択肢が1つしかない。
やむを得ずその選択肢を選ぶと、急に8月31日に飛び、主人公が死んでしまう。しかも、このときには犯人がだれなのかはっきりしない。
WORST ENDはかなりショッキングで、グロテスクだ。
再びプレイするともうひとつの選択肢があらわれ、WORST ENDをひとまず回避できる。しかし、真相にたどり着くのはもっと先の話だ。
移動先を選んでヒロインを探すシステム
『ワールドエンド・シンドローム』はマップから行き先を選び、先に進んでいくシステムだ。
主人公の移動先にヒロインやサブキャラクターがいれば、会話が発生する。
普通のギャルゲーでは選択肢が多数枝分かれして好感度に影響するが、このゲームでは会話での選択肢が極端に少ない。それよりも、どこに移動するか場所を選ぶことによってシナリオが進んでいくシステムになっている。
初回プレイ時は、誰がどこにいるのかは表示されない。
プレイする度に、その場所で遭遇したキャラクターの履歴が記録されて蓄積される。
会話の選択肢を選ぶだけのシステムに慣れたプレイヤーには、移動システムは面倒と感じるかもしれない。
私は何度もプレイしていくうちにキャラクターの居場所が埋まっていくので、コレクター心が刺激された。
序章をクリアすると、本編は8月1日からスタートする。8月中にヒロインとの仲を深めていき、個別エンディングを目指す。
1日は午前・午後・夜と3つに分かれており、それぞれの時間帯で場所を選択して移動できる。
たとえば部活などのイベントが入った場合は、その時間帯がスキップされることもある。
1日が終わるごとにカレンダーにバツが書かれていく。
何も進展がなく、8月が終わりに近づいていくと焦りを感じる。
ポイントになるのは8月25日の夏祭りだ。この日までにヒロインと仲良くならないと、自動的にバッドエンドとなる。
ギャルゲーの基本である、過去ログ・メッセージスキップ・オートモードを搭載しており、ゲームプレイは快適だ。
文中で一部のワードを解説するTip’sや、コレクション、ミッションは収集物としての要素が高い。
あるグッズ以外はそこまで大きな意味を持たない。
サウンドエフェクトと動く背景が印象的
『ワールドエンド・シンドローム』はイベント時を除き、フルボイスではない。声優目当てで購入する人は物足りないかもしれない。私自身はそこまで気にならなかった。
SEが印象的で、疑惑のシーンではここが怪しいと気づかせるヒントとして使われている。
また、プレイヤーを驚かせる演出としても効果的に使用されていた。
ピアノをメインにしたBGMは物悲しく、ゲームの雰囲気作りに大きく貢献している。
音楽を担当した新田高史氏のYou Tubeチャンネルにメインテーマのピアノソロがアップされている(演奏は伊藤憲孝氏)
これらが全て動くように作られており、臨場感を増している。(この場面では風車がずっと回転している)
他のシーンでも、背景の一部が動くように作られているところが印象的だ。
攻略順を知らないと詰む可能性あり(ヒントはトロフィー)
『ワールドエンド・シンドローム』はヒロインの攻略順がある程度固定されており、それを知らないとクリアできずに詰んでしまう可能性がある。
私は最初に未海ルートをクリアしようと、ひたすら未海を追いかけたが、WORST END(バッドエンド)になった。
何度プレイしても同じ結果になったので、さすがに怪しいと思いトロフィーを確認したところ、明確に攻略順が記されていた。
トロフィーどおりに進めると、攻略順は沙也→花子→舞美→雪乃→未海となる。
私はWORST ENDを何度も繰り返し、心が折れそうになったので、攻略順はゲーム内に分かりやすい記述があればよかったと思う。
総合評価
総評:非常に良い
4.5/5
『ワールドエンド・シンドローム』は《黄泉人伝説》をメインテーマとしたミステリー×恋愛アドベンチャーゲームだ。
謎が謎を呼ぶストーリー展開は抜群におもしろく、どんどん引き込まれていく。容易に真相を明かさずに最後の最後まで引っ張るところも良かった。
一方で《黄泉人伝説》はオカルト要素が強く、非現実的な物が苦手な人には受け入れられないだろう。
攻略順を知らなければ詰んでしまう可能性もある。
また、ギャルゲーとしてはイチャつきシーンが少なめである点にも留意されたい。
登場するヒロインたちもかわいく、ストーリーがハマれば夢中になれるタイトルだ。オカルト嫌いでなければ、ぜひプレイしてほしい。
- 凝ったミステリー
- ユニークな移動システム
- ヒロインがかわいい
- フルボイスではない
- イチャつきシーンが少ない
- 攻略順が分かりにくい(トロフィーを見るべし)
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