『ワールドエンド・シンドローム』は100年に1度、町に死者がよみがえり、生者を殺めるという《黄泉人伝説》がテーマとなっている。
また、ヒロインにはそれぞれ秘密があり、ヒロインルートで明かされるものもあれば、最後まではっきりしないまま終わるものもある。
この記事では全クリア後に周回プレイした私が、気になる項目をまとめた考察をお届けする。
オープニング曲の仕掛け
『ワールドエンド・シンドローム』の宣伝番組「魅果町 町内放送#06」の中にヒントがある。
楠瀬 舞美役の東城日沙子さんが、オープニングテーマ曲「Brand-New World」の歌詞に言及していた。
公式アカウントが「Brand-New World」の歌詞をアップしている。
音を無くした 空の彼方に
「Brand-New World」
真相編で明かされた主人公の本名《音無 空》が歌詞にまるまる入っているのだ。
クリア前には絶対気がつかない……
見失ったささやきは雪のように
「Brand-New World」
今は もう迷わない
君がくれた世界を そっと抱きしめて
ヒロインの1人かつ、主人公の姉・雪乃も歌詞に含まれている。
「今はもう迷わない~」からは事故の責任を感じ、主人公が仲間たちに支えられ、生きる希望を取り戻すという未来を示唆している。
WORST END(ワーストエンド)
どのヒロインとも仲良くなれないまま終わる、実質のバッドエンドであるWORST END。
8月31日、別荘に戻った主人公は血だらけの室内で事切れる間際の雪乃と、死亡した舞美を発見。
窓から外を見ると未海と目が合い、こちらの様子を伺っていた。
→未海は黄泉人の存在に感づいており、別荘を訪れたと思われる。
片目を隠して主人公を見ていたのは、未海が黄泉人を見抜く《鷹目》を使っていたのだろう。
警察に連絡するため、携帯電話を取りにリビングまで降りた主人公はインターフォンに反応して、ドアスコープを覗く。
すると未海がこちらを覗いており、「いるの?開けて」と言われる。
→未海は主人公を助けるために、ドアを開けるように伝えたはずだ。
主人公は後ろからきた人物に殺されて終わる。
→犯人は「髪を振り乱し」とあるので、壬生の可能性はないと見る。
雪乃は死にそうになっていたが、黄泉人なので首をはねられなければ復活できる。
このことから2つのパターンを考えてみた。
1つ目は黄泉落ちした山城先生がすべての殺人を犯し、逃走した。
2つ目は壬生が雪乃と舞美を殺して逃走し、雪乃が蘇って主人公を殺した。
ここは釈然としないが、主人公のリアクションから考え、私は山城先生犯人説を推したい。
その他の死亡エンド
ワーストエンド以外に死亡エンドとなるのが、沙也ルートと舞美ルートだ。
沙也ルートでは舞美の誕生パーティーのため、別荘に集まった高校生が殺されている。
具体的に誰と明示されてはいないが、竜崎刑事が「鷹目なき今」と言っていることから、未海が死亡したのは間違いないだろう。
舞美ルートでは9月某日に大量虐殺事件発生。複数の高校生が犠牲になっている。
それ以外に明かされる情報は「女性が一人失踪中」のみ。
雪乃はすでに魅果町を離れていることから、失踪したのは黄泉落ちした山城先生だろう。
パンダ男は誰か?
各ルートから見ていきたい。
まず神代沙也ルート。
主人公は「おそらく男」と言っており、ここで性別がほぼ決まる。
沙也は禁足地に入る前に、時計を確認して「会見、上手く行ったかな」と言っている。
この時点で会見時間は過ぎており、壬生が神代ホテルから禁足地まで駆けつける時間は十分にあった。
次に二階堂玲衣ルート。
禁足地で遭遇したときに「パンダ男」と出ており、性別は男で確定する。
パンダ男は玲衣に町から出ていくように脅迫状を送ったと言う。
その後に明かされるが、脅迫状の筆跡は玲衣の父とは違うと判明しており、玲衣の父は除外される。
壬生は沙也が中心となって進める映画のプロジェクトに不満をもっており、玲衣を脅迫する動機があった。
さらに主人公が転校生であることや、家族を不幸にしたことを知っているため、身近な人物であることも疑いようがない。
雪乃ルートでもパンダ男が登場する。
本編中でも明かされているが、雪乃を襲おうとしたパンダ男はお面越しに催涙スプレーをかけられた。
翌日、主人公と雪乃が学校で遭遇した壬生の目は真っ赤になっていた。
その後、本人が墓穴を掘ったおかげで、雪乃ルートではパンダ男=壬生として確定される。
舞美ルートではパンダ男が出ない。
壬生は2人が禁足地に入るタイミングで、沙也に捕まっているため、2人を襲うことが出来ない。
ここまでの状況を見て、どのルートでもパンダ男は壬生で間違いないだろう。
母・沙依(さより)
つまり2人は実の姉妹、しかも同父・同母の姉妹である(戸籍上は異父姉妹となっている)。
時系列で整理すると……
母・沙依は神代唐一郎と高校の同級生で恋人同士だったが、それぞれ事情があり別の道を歩んだ。
唐一郎は別の女性と結婚し、壬生が誕生した。その後、最初の妻とは別れている。
沙依も別の男性と結婚し、玲衣を出産。その後、沙衣は夫の暴力に耐えきれず、第二子(沙也)を身ごもったま唐一郎に助けを求めた。
2人は再婚し、沙也が生まれた。
血縁上、沙也は前夫の子なのだが、戸籍上、唐一郎の子として届けられたようだ。
沙依は重い病気を患っており、魅果町の森川医院に入院したが、沙也が2歳のときに死亡。
翌年、3歳になった沙也の前に黄泉人として姿を現し、大鷲に処理された。
本編では2人がお互いを姉妹として認識するシーンはないが、雪乃のクイズミッションでは2人は姉妹という選択肢を選ぶと正解扱いになる。この事からも玲衣と沙也は姉妹で間違いない。
ちなみに2人のルートに現れるタカリの中年男性は2人の実父である。
甘奈家と神代家の因縁
『ワールドエンド・シンドローム』では神代家が名家として登場するが、未海ルートで明かされたのは《かりそめの名家・神代家》の姿だ。
甘奈家の衰退と神代家の躍進はどちらも同じタイミング《100年前の黄泉人事件》だった。
100年前に蘇ったのは甘奈家の青年だった。
甘奈家は葛藤がありつつも、殺人を止めるために青年の首を落とした。
神代家はチャンスとばかりに《甘奈家は死者を蘇らせて匿おうとした》と糾弾。
町民の支持を得たのちに「死者は100年現れない」と主張し、町は平穏を取り戻した。
その結果、甘奈家は没落してしまった。
しかし、100年現れないというのは嘘で、実際はその後も毎年甘奈家が密かに黄泉人を排除していた。
甘奈家は《善行は隠れてすべし》という家訓に則り、誇ることもなく町の安寧を支えていたのだ。
神代家には過去を知るものもいなくなったというが、本当にそうだろうか?
神代家の社には《100年前の黄泉人事件の資料》が保管されている。
これは甘奈家から盗まれたもので、100年前に黄泉人を排除したのは甘奈家であると記載され、役場の押印もあるものだ。
神代家の敷地内に展示施設があるにも関わらず、人目に触れないように保管しているのは、神代家が自らの地位を守るためとしか思えない。
甘奈家の没落後、甘奈の血を持つ者は名を変えて町に住んでいる。
神代ホテルのマネージャーで未海の叔父・御影達臣や海カフェの店員、森川医院も甘奈家の家系だ。
現在も人知れず町を掌握しているのは甘名家かもしれない。
大鷲
大鷲は黄泉人狩りの実働部隊で現在は5名いる。鷹目が黄泉人を見つけ、大鷲が排除する役割だ。
長は未海の兄・大和が務めている。
5名のうち、1人は神代ホテルマネージャーの御影。
唯一の女性は竜崎刑事だ。(竜崎は甘奈の末裔で大和とは従姉妹関係)
その他のメンバーは不明。
月見里彩芽(やまなしあやめ)
『ワールドエンド・シンドローム』最後の謎は月見里彩芽だろう。
彩芽は複数ルートのエピローグで竜崎から報告を受けていた人物だ。
真相編のエピローグで《黄泉落ちの気が満ちるのを感じる》として、魅果町に戻る。
魅果高校の教壇に立ち「今日から担任になった月見里彩芽です」と自己紹介してこのゲームは終わるのだ。
彩芽が何者なのかというヒントは本編中にある。
- 鷹ヶ魅神社の宮司の娘であり甘奈家の末裔
- 神の力を宿したと評される才能を持っている
- この町は呪われていると忌み嫌って町を出た
- どこかで教鞭を取っている
- 鷹目
黄泉人を見分ける《鷹目》を持つのは未海と彩芽のみだ。
未海はまだ能力の充分に使えているとは言えないため、鷹目を使いこなせるのは彩芽しかいない。
彩芽は新たな黄泉人の襲来を匂わせていることから、新たな黄泉人事件が起こるのかもしれない。
この辺りは続編に期待ということだろう。
まとめ
- オープニング曲には主人公の名前が隠されている
- ワーストエンドで主人公を殺すのは、山城先生 or 雪乃
- 沙也ルートで死んだうちの1人は未海
- パンダ男は壬生
- 玲衣と沙也は実の姉妹、沙衣は2人の母
- 神代家は甘奈家を意図的に没落させた
- 大鷲は黄泉人狩り集団で、長は未海の兄・甘奈大和
- 刑事・竜崎は甘奈家の末裔で大鷲の一員
- 月見里彩芽は甘奈家の末裔で鷹目を持つ
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