『銭湯カノジョ-恋もお風呂もアツアツで-』レビュー｜ライトに楽しめる女装ギャルゲー【評価・感想】

『銭湯カノジョ-恋もお風呂もアツアツで-』は女装男子が主役のビジュアルノベルだ。

存続の危機を迎えた祖母の銭湯「姫ノ湯」を救うべく立ち上がる男の子・あさひ。

番台に座るのは代々女性と決められており、やむを得ず女装姿になって銭湯を切り盛りしていく。

そこにはアルバイトとして一緒に頑張る千佳の姿もあった。

銭湯が危機を迎えるたびに2人は協力して立ち向かい、その過程で徐々にお互いに好意を抱いていくストーリーだ。

この記事では、銭湯の経営にフォーカスを当てたシナリオや女装ものとしての立ち位置を中心に『銭湯カノジョ-恋もお風呂もアツアツで-』をレビューしていく。

ジャンル	恋愛ビジュアルノベル
発売元	iMel
開発元	iMel Rosetta (公式サイト)
プラットフォーム (ストアリンク)	Nintendo Switch PC(Steam / DMM / DLsite)
発売日	Switch：2022年7月28日 Steam：2022年9月2日
プレイ時間	3時間

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ストーリーの一部ネタバレあり。

あらすじ(ストーリー)

主人公・あさひの祖母が足腰を痛めて入院してしまった。

あさひは祖母の経営している銭湯「姫ノ湯」を存続させるため、姉・潤の助けを借り、自分たちだけで銭湯を開けようと奮闘する。

しかし、姫ノ湯の番台は代々女性だけと決まっており、あさひは仕方なく女装することに……。

姫ノ湯存続のため、アルバイト・千佳と一緒にさまざな施策を練っているうちに2人の距離がどんどん縮まっていく。

銭湯を愛するキャラクターたち

桐咲 あさひ

祖母不在の間、銭湯を守り抜くために奮闘する男の子。
女装姿は誰にも見破られないほど、似合っている。

桐江 千佳

姫ノ湯でアルバイトをする女の子。
自宅のお風呂が壊れており、仕事後に姫ノ湯で汗を流すのが好き。
同い年のあさひとはすぐに打ち解けて、一緒に銭湯を守ろうとする。

桐咲 潤

あさひの姉。
ズボラに見えるが、姫ノ湯存続のため、裏で手をまわしてあさひたちをサポートしている。

経営の厳しさにヒロインと一緒に立ち向かう

『銭湯カノジョ-恋もお風呂もアツアツで-』をプレイして感じたのは、ストーリーの比重が思ったよりも銭湯の存続・再建に寄っているということだ。

本作のようなロープライス作品の場合、恋愛に関する描写に多くのボリュームが割かれ、それ以外は舞台設定にすぎないケースが多く見られる。

あさひは祖母や姫ノ湯に対する思い入れが強く、お金周りのことを考えず、とにかく事業を存続させることに執着する。

その動きに釘を刺すのが姉の潤だ。潤も思い入れのある姫ノ湯が無くなってほしくないという思いは一緒だが、年老いた祖母、老朽化する施設、今の時代に銭湯が置かれた現状などを真っ直ぐに指摘する。

あさひは姉の言葉に反抗するわけではなく、しっかりと受け止めながら、悩んだり、千佳の協力を得つつ、自分たちの力でできる範囲の新しいことにチャレンジしていく。

千佳も家族のように接してきたあさひの祖母への思いは強く、姫ノ湯自体への愛着もある。その熱量はあさひと同じだ。

2人が試行錯誤しながら、姫ノ湯を盛り立てて行こうとする一生懸命な姿勢は商店街の人々やお客さんの心をつかみ、銭湯は徐々に軌道に乗っていく。

次々と訪れる試練に挑む過程で一緒に悩み、解決する間にお互いの良さに気づき、恋心を持つのは自然で、それまでの導線はとても良かった。

ちなみ銭湯に訪れるお客さんとしてRosettaの前作『秘密のキスは甘くやさしく』から恵麻が出演している。Rosetta作品を追いかけているプレイヤーにはうれしいサービスだった。

女装もの特有の背徳感は薄め

今までリリースされてきた女装ものビジュアルノベルでは、主人公は女装によって周囲を騙すことに引け目を感じていることが多い。

それと同時にバレたら退学になってしまう、生活が難しくなってしまうなどバレたときの危機的な状況を背負いながら日々を過ごしているケースもある。

本作のあさひも自分を女の子だと思って接してくる千佳に対して罪悪感を抱いているが、バレた後に人生が崩壊してしまうのではないかと怯えるほどの深刻さはない。

その分、スリルは少し薄まっており、気軽にプレイできる。

女装ものでは主人公が男だとバレた後に起こるヒロインからの拒絶やそこから立ち直っていく様が見どころのひとつだ。

最初は受け入れなかったヒロインでも主人公が自らの状況を説明し、真摯に謝罪することで、その境遇や人となりに魅力を感じていたことを思い出し、主人公を受け入れるというような波乱が仕込まれているシナリオもある。

ここから先、展開のネタバレあり。ネタバレを飛ばす方は→こちらをクリック

本作ヒロイン・千佳はあさひの女装をわりとあっさり受け入れしまう。

同性だと疑わず、一緒にお風呂にまで入っているのに怒られたり拒絶されたりすることはなく、波乱がなかったのは少し拍子抜けだった。

銭湯の危機に比重が偏っているが、千佳の葛藤をもう少しさまざまな角度から描いていてもよかっただろう。

なぜ無いんだ！姉ルート！

本作の鍵を握るのはあさひの姉・潤だ。

口は出すが手は出さない。銭湯の経営に消極的なように見せて、あさひをしっかりバックアップしているデキる女性。

あさひをイジって遊ぶことが多く、女装させてみたり、千佳との仲を茶化してみたりと弟から見れば鬱陶しい存在に見えるが、あさひは純粋に姉を慕っている。

Sっ気のある姉とモジモジしている弟のカップリングは筆者の大好物……！

ぜひ潤と禁断の恋愛も楽しみたかったのだが、本作のヒロインは千佳のみ。

姉への感情は憧れとして胸にしまっておこう……。

システム・オプション設定は快適

数々のギャルゲーを制作してきたiMelらしく、オプション設定も豊富。快適にプレイできた。

セーブ・ロード	あり スロット数：120
クイック セーブ・ロード	あり
オートモード	あり
スキップ	あり
BGM・音声 ボリューム	あり
バックログ	あり

クリアまでのプレイ時間は3時間

筆者のプレイ時間は3時間。

ボイスを飛ばした部分もあるため、全ボイスを聞いてプレイした場合はもう少しプレイ時間が延びるだろう。

作中に選択肢はなく、シナリオは一本道だ。CGは10枚収録されている。

2022年8月25日からDLsite/DMMで配信がスタート

総合評価

レビュー時のプレイ機種：Nintendo Switch

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