『Peaky Blinders: Mastermind(ピーキー・ブラインダーズ:マスターマインド)』はギャングの抗争をテーマとしたパズルアドベンチャーゲーム。
イギリス・BBCで放送されているドラマ『Peaky Blinders』を原作としている。
第一次世界大戦後のバーミンガムに実在したギャンググループ《ピーキー・ブラインダーズ》の実質的なリーダーであるトミーが様々な問題を乗り越え、成り上がっていく様子が描かれていく。
ゲームはストラテジーに近いステルス主体のパズルで、敵をやり過ごしながら目的を達成していく。
時間を巻き戻す機能が特徴的で、複数キャラクターの動きを設定し、それが上手くハマると気持ち良い。
ストーリーはドラマの前日譚にあたり、展開はギャングモノの定番ではあるが、堅実で優れたゲームシステムによっておもしろさを高めている。
ゲームはシーズン1の直前を描いたオリジナルストーリーで、原作(ドラマ)を見ていなくても問題ない。
ゲームはシーズン1の直前を描いたオリジナルストーリーで、原作(ドラマ)を見ていなくても問題ない。
この記事では5つのポイントを上げながら、『Peaky Blinders: Mastermind』をレビューしていく。
ジャンル | パズルアドベンチャー |
発売元 | Curve Games |
開発元 | FuturLab |
プラットフォーム (ストアリンク) | PC (Steam) |
日本語対応 | ◯ |
発売日 | Steam:2020年8月20日 |
価格 | Steam:2,570円(税込) |
プレイ時間 | 7時間 (ストーリークリアまで) |
- ギャング作品が好きな人
- ステルスゲームが好きな人
ストーリー
第一次世界大戦直後のイギリス・バーミンガム。
戦争から戻ってきた3兄弟は敵対するギャングの倉庫からシャンパンを盗み、盛大なパーティーを行って、ピーキー・ブラインダーズが戻ってきたことを印象付けた。
彼らの帰還によって街の均衡が崩れ、ある仲間の死をきっかけにファミリー、敵対ギャング、チャイニーズマフィア、警察が絡む抗争へと発展していく。
時間操作を駆使してピンチを切り抜ける快感
『Peaky Blinders: Mastermind』では時間を巻き戻しながら、指定された目標をクリアしていく。
時間操作はミスしたシーンのやり直しや同じ時間軸で複数キャラクターを操作するために使用する。
たとえば、
- 長女・エイダを操作して敵の気を引く
- 時間を巻き戻す
- エイダが敵の気を引いている間にトミーを操作して通過する。
女性が近くに来たぐらいで気が散るなんて、中学生かな?
というように各キャラクターの行動を記録し、それを再生しながら別キャラクターを動かしていく。
操作するのが2人程度なら問題ないが、終盤のステージではファミリー6人の行動を考えなければならない。
多くのキャラクターの動きが見事にリンクしたときの気持ちよさは快感になる。
最初から再生し直して、ニヤニヤしちゃう!
キャラクターには各々特殊能力が設定されている。
- トミー(次男):特定の人を操る ※時間制限あり
- アーサー(長男):殴り合い、ドア破り
- ポーリー(叔母):賄賂、鍵開け
- ジョン(三男): 殴り合い、障害物を燃やす
- エイダ(長女):敵の注意をそらす
- フィン(末弟):狭い場所を通れる、スリ
トミーの能力は住民を説得するとなっているけれど、実際は脅しているか、カネを渡してると思うね!
トミーの能力で敵にドアを開けさせたり、フィンを使って敵の鍵を盗んだり、それぞれのキャラクター特性を生かしたプレイがおもしろい。
キャラクター特性はリアルタイム戦略のジャンルにはありがちなものだが、時間操作と組み合わせることでシステムの緻密さが際立ち、パズルとしてのおもしろさが増している。
コントローラーに最適化された快適な操作感
『Peaky Blinders: Mastermind』を起動するとコントローラーでのプレイを推奨される。
マウスも使用可能だが、細かい移動などはコントローラーの方向キーでキャラクターを直接に動かすほうがスムーズだ。
リアルタイム戦略の名作『Desperados III』もコントローラーに最適化されている。集団を操作するゲームと違い、少人数のキャラクターを操作する場合はコントローラーを使用する方が操作がスムーズで、ゲームにのめり込める。
雰囲気にマッチしたグラフィックと妙なBGM
『Peaky Blinders: Mastermind』はステージの前後にドラマが挿入され、イラストを背景にキャラクターたちの会話が繰り広げられる。
このイラストがストーリーの雰囲気に合っていて、よい。
陰影が印象的でかっこいいー!
あるステージではトミーの従軍によるトラウマを投影した演出もあり、人物を多面的に表現しようとする意図を感じた。
ステージミッション中のマップグラフィックは美麗ではないが、プレイに支障はない。敵の視野サークル表示も見やすく、プレイしやすかった。
BGMは映画音楽のような深みのある曲からロックまで作風にマッチしているものが多い。
唯一気になったのがステージ選択画面のBGMだ。シリアスなステージを選ぶときにもハイテンポな曲が流れるのは作風とミスマッチに感じた。
展開に合わせてBGMを変えなくとも、汎用性のある曲にすればよかったのに……
概ね優れたBGMだったが、1曲でも合わない曲があるとゲームのイメージを壊してしまう。
やりこみ要素は少なめで、プレイ時間も短い
『Peaky Blinders: Mastermind』がストラテジーではなく、パズルに分類されるのは”自由度の低さ”によるものだ。
ストラテジーであれば、攻め筋は1つではなく、プレイヤーによって攻略ルートが分かれることもある。しかし、本作は基本的に一本道であり、攻略方法は限られている。
やりこみ要素としては以下の2つ。
- クリア時間でゴールド評価を目指す
- 各ステージの懐中時計(回収アイテム)のすべて収集する
ゴールド評価は時間の巻き戻しを駆使して少しでも余計な時間を省き、行動を効率化を極めていくもので、作業に近い。
収集アイテムの懐中時計はルート上にあるものから、別ルートを迂回しなければ分からないものまである。ゴールド評価と両立するには難しいステージもあり、再プレイが必要になる場合も……。
筆者が全ステージをクリアするまでのプレイ時間は7時間だった。最終ステージに2時間費やしてしまったため、頭脳派プレイヤーであれば、プレイ時間はもう少し短くなるだろう。
かんたんなステージは初回プレイでも15分ぐらいでクリアできるよー
雰囲気を楽しみたいプレイヤーには難易度:スタンダードがおすすめ
『Peaky Blinders: Mastermind』には2つの難易度(スタンダードとハード)が用意されている。
スタンダードでプレイするとマップ上に各キャラクターに設定された色に準じた円が表示され、それぞれがどこに進むべきなのかヒントが表示される。
中盤以降はマップが広く、操作キャラクターも増えるためヒントがあるとプレイしやすい。
場所が分かっても突破方法が分からないこともあるから、少しヒントになるぐらいかな
より高難易度を求めるプレイヤーはハードを選んでヒントなしクリアを目指すことも可能。
パズルやストラテジーが苦手なプレイヤーにはスタンダードがおすすめだ。
総合評価
総評:非常に良い
4/5
『Peaky Blinders: Mastermind』はギャングの抗争を主軸にしたパズルアドベンチャーだ。
時間操作を駆使しながら複数キャラクターを動かし、スマートに目的を達成できると快感が生まれる。
コントローラーに最適化された操作はスムーズで画面内のキャラクターに直感的に操作でき、快適だった。
ステージ前後に挿入されるイラストは作風に合っており、クールだが、一部BGMがシーンと噛み合わないところがあった。
やりこみ要素は少なく、ストラテジーのような自由度はない。
本作はギャングをテーマにしたストーリーや雰囲気を楽しみたいプレイヤーにおすすめしたいタイトルだ。
- 時間操作とキャラクター特性を生かしたゲームシステム
- 快適なプレイフィール
- 作風にマッチしたイラスト
- 自由度の低さ
- 雰囲気に合わない一部のBGM
- PC(Steam)
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このページで使用している『Peaky Blinders: Mastermind』のゲームキャプチャ画像はCurve Games / FuturLabの著作物です。転載、配布等は禁止いたします。