『Jisei ~喫茶店殺人事件~』はSakeVisualが制作するミステリーアドベンチャーシリーズの第1弾だ。
シリーズは本作を含む3作品がリリース済み(ローカライズされたのは2作品)。現在は4作品目が開発中だ。
Ayu Sakataが設立したビジュアルノベルブランド。ミステリーや乙女ゲームなどを制作している。
Ayu SakataはApphia Yuの名義で声優としても活動中で、海外版『ひぐらしのなく頃に 業』古手梨花役、『暗殺教室』中村莉桜役など数多くの作品に出演している。
人の死を感じ取り、追体験できるサイコメトリー的な能力を持つ謎の男が、カフェで起こった殺人事件の犯人ではないかと疑われる。
プレイヤー(謎の男)は真犯人を見つけ、無実を証明するために現場にいた人物たちと会話し、事件解決の糸口を探っていく。
シリーズものではあるが、事件自体は本作で完結する。まずは序章と位置付けられる本作をプレイして、好みに合うか確かめてみるのがよいだろう。
この記事では3つのポイントを上げながら、『Jisei ~喫茶店殺人事件~』をレビューしていく。
ジャンル | ミステリーアドベンチャー |
発売元 | ラタライカゲームス |
開発元 | SakeVisual |
プラットフォーム (ストアリンク) | Nintendo Switch PlayStation 4 Xbox One PC(Steam / itch.io) |
日本語対応 | Switch:◯ PS:◯ Xbox:◯ Steam:× |
発売日 | Switch:2022年1月6日 PS:2022年1月6日 Xbox:2020年7月22日 Steam:2010年6月4日 |
プレイ時間 | 1時間 |
(日本語対応はパブリッシャーに確認し、記載しています)
- サクッとプレイしたい人
- 海外ミステリー好きな人
本記事はラタライカゲームスから商品を提供いただき、作成しています。
あらすじ
カフェで居眠りしていた主人公は目を覚ますと、突然激しい頭痛に見舞われる。
ふらつきながらトイレに向かうと、女性がナイフで刺され、息絶えていた。
途方に暮れていると、後からきた女性から犯人と決めつけられてしまう。
主人公は自らの無実を証明するため、真犯人を探すことに……。
全員怪しい?登場人物たち
主人公
素性不明の青年。名前すら明かされていない。
近くにいる人の死の気配を察知し、亡骸に触れると死の直前の記憶が読める特殊能力を持つ。
ガルスキー刑事
偶然現場に居合わせた非番の刑事。
現場を保存し、主人公に聞き込みを行わせる。
チャンス
カフェの店員。
普段は朗らかだが、感情が激すると暴挙に出ることも……。
バーグストロム
近くにある医療関係の会社に勤める女性。
主人公を犯人だと決めつけ、嫌悪している。
キザキ
カフェで宿題をしていた学生。
おどおどしていた態度の裏側で、ひそかに誰かとチャットをしているようで……。
定番のシステムで犯人を探し出せ
『Jisei ~喫茶店殺人事件~』の操作感はオーソドックスなミステリーアドベンチャーだ。
周辺を調べ、登場人物たちと会話を繰り返すなかで、重要なコメントを引き出して推理を組み立てていく。
「調べる」コマンドでは矢印を動かしたり、選択肢の中から調べる部分を決定するのが一般的だが、本作では「調べる」を押すだけでその周辺をまとめて調べられるように簡略化されている。
調べるパートは結構ざっくりしているかも。
会話は選択肢のなかから選んでいく形式だ。
あらかた調べ終わるとガルスキー刑事に報告しにいく。
その際、会話のなかで重要なポイントだけを報告する仕組みになっており、これによってプレイヤーは推理に必要な要素を整理できる作りになっている。
終盤には犯人と動機を当てるパートがあるが、分からなければ総当たりでクリアまで進むことができる。
プレイヤーへの配慮が随所に感じられ、推理が苦手でも楽しめるように作られている。
続編を先にプレイすると犯人が分かってしまうので、プレイの順番には注意すべし!
日本語のローカライズは全く問題ない。ボイスは英語のみ(ミュート可)。
英語音声を聞きながらテキストは日本語でプレイすると海外の雰囲気を感じながらプレイできる。
極めてシンプルだが、それが良い
本作で行うのは「移動」「調べる」「話す」のみ。至ってシンプルだ。
会話や推理に過剰な演出がなく、淡々と進んでいく。それが心地よい。
画面を豪華に彩ったり、推理パズルを出したり小細工で誤魔化そうとせず、真摯にミステリーと向き合う姿勢が感じられる。
主人公の特殊能力はやや突飛だが、能力に頼り切って進むストーリーではない。”ここぞ”という場面でのみ使用され、能力は推理に必要なヒントの最後のピースを埋めるために用いられている。
作中で繰り広げられるのは会話、会話、会話。とにかく会話だ。
容疑者3名と会話し、本人の情報、またそれぞれ、別の人から見た側面を少しずつ引き出していく。そこには虚実が入り乱れている。
プレイヤーは3人の言葉のなかから真偽を判断し、取捨選択して推理をしていく。
最初は事件には関係無さそうに見えた3人から話を聞くうちに誰もが怪しく思えてくる。
感情が抑えられない?敵対していた会社の人間?被害者が入店時からずっと見ていた?など次々と繰り出される疑惑にミスリードされまいと慎重に真実を探し出していく。
現場やその周辺を調べることで推理を補完し、真犯人を明らかにする。
それまでの道中はシンプルだが、捜査の基本に忠実なミステリーらしいミステリーとしての醍醐味を感じた。
シリーズを全部追いたい!絶妙なクリフハンガー
冒頭で述べたとおり、本作はシリーズの第1弾であり、序章的な位置付けだ。
ズバッと推理を決める主人公は最後まで名無し。その素性は謎のままエンディングを迎える。
エンディングでは今後につながる場面をちょい見せしつつ終わるため、この後はどうなるんだー!ともやもやした気持ちになる。
その後の展開を描いた『Kansei』はすでに各コンシューマ版が日本語でリリースされており、プレイ後に気になった方はぜひ続けてプレイしてみると良いだろう。
筆者はすぐに続編をプレイし、本シリーズのおもしろさに魅了された。
クリア後に解放される「エピローグ」にも重要なシーンがあり、それもまた真相が気になる。このクリフハンガー上手め!
総合評価
『Jisei ~喫茶店殺人事件~』は正統派のミステリーアドベンチャーゲームだ。
「移動」「調べる」「話す」のみで構成されたシンプルなシステムで、過剰な演出に頼らない。
その分、会話に重点が置かれており、容疑者3人の話の真偽をじっくりと見極めて推理をする硬派な作りに好感を持ったし、おもしろかった。
ミステリー好きであれば、推理はちょっと苦手という人でもおすすめできる。続編の『Kansai』と合わせて一気にプレイしてほしいタイトルだ。
- 会話を重視した推理
- シンプルで分かりやすい操作
- 調べるパートが簡略化されている
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