『Behind the Frame 〜とっておきの景色を〜』は美しいアニメーションが特徴的なアドベンチャーゲームだ。
主人公は画家として創作活動をしつつ、パンを焼いたり、コーヒーを入れたりとありふれた日々を過ごしている。そしてあるとき、平凡な日々に変化が生じる。
ジブリ作品のような世界観とその中で生活しているような感覚を味わえる作品だ。
この記事では3つのポイントを上げながら『Behind the Frame 〜とっておきの景色を〜』をレビューしていく。
ジャンル | 謎解きアドベンチャー |
発売元 | Akupara Games Akatsuki Taiwan Inc. |
開発元 | Silver Lining Studio (公式サイト) |
プラットフォーム (ストアリンク) | Nintendo Switch PlayStation 4 PC(Steam) iOS Android |
発売日 | Switch:2022年6月2日 PS:2022年6月2日 Steam:2021年8月25日 |
プレイ時間 | 1時間 |
- ジブリが好きな人
- シンプルなストーリーを好む人
あらすじ
主人公は画家の女性。
ニューヨークアートギャラリーの公募展に応募するため、制作に没頭している。
一息ついて、窓の外を眺めると隣りに住む老画家の部屋が見える。主人公は彼の作品や猫からインスピレーションを得て、制作をするうちに決まりきった日常が変化が生じて……。
ジブリの世界で生活しているような雰囲気
『Behind the Frame 〜とっておきの景色を〜』をプレイして感じるのはゆったりと流れる時間だ。
作中では絵画の制作を主軸に、何気ない日常の生活が描かれている。
主人公にはルーティンがあり、
- お気に入りの音楽を流す
- 食事をする
- 公募用のレジュメを書く
- コーヒーを淹れる
をこなしてから、制作に入る。
それ以外にも窓の外を見たり、スケッチをしたりと自由な時間を楽しむ。
それぞれの行動は10秒程度のシンプルなものだが、ゲームの中で日常の動作を行うことでプレイヤーは作品の世界観を理解し、自然と作品の雰囲気に入り込める。
ビジュアルと音楽も素敵でのんびりとした時間を味わえるよ
主人公が提出する作品には線が引かれており、プレイヤーは色を塗っていくだけ。
色を間違えればすぐに消え、線をオーバーしても、はみ出た部分には色がつかないなど、塗る行為の難易度も低い。
主人公が最初に持っている絵の具は黄色のみ。室内に飾られた絵や老画家の絵をヒントに室内のパズルを解くと新しい色が追加され、ストーリーが進んでいく。
パズルの難易度は低く、行き詰まることはほぼないだろう。
作品制作もパズル要素もゲーム性はなく、すべてが雰囲気作りの一部として存在している。
難易度が抑えられているのも、プレイヤーにテンポよくパズルを解かせることで、ストーリーを進め、アニメーションを見せるようにプレイさせようとする意図を感じた。
ローカライズも素晴らしく、日本語表現に違和感はない。通常のテキスト表示やムービーに至るまで丁寧な仕事ぶりが伺える。
ニューヨークのギャラリーに送るレジュメがあえて英語になっているのは送信先がアメリカだからというこだわりが見えた。他言語(簡体字で確認)でも英語であったため、設定に沿ったものだろう。
ありがちでひねりのないストーリー
『Behind the Frame 〜とっておきの景色を〜』のストーリー展開には不満が残った。
ストーリーは作中で直接的に説明されるわけでなく、主人公の行動から推察する作りだ。
公募のレジュメを作り、ニューヨークのギャラリーに絵を出品したいんだなと理解したり、部屋に転がっているパズルを解いて、記憶の断片に触れ、主人公の過去を理解していく。
凝った伏線はなく、伏線というにはあまりにもミエミエのものばかりだ。
本作はチャプター5まであるが、筆者はチャプター1で主人公が隣人に挨拶するあたりから話の全容が読めてしまい、思った通りのエンディングを迎えた。
「ストーリー重視の謎解きゲーム」(公式)としながら、ありがちなストーリーで物足りない。
分かりやすいストーリーを目指していたとしても、あまりにも意外性がなく、序盤でオチが読めてしまうのでは興ざめだ。話に深みを出すにはボリュームが足りなかったのかもしれないが……。
ストレートな感動系だけで押し切るにはもっと謎を引っ張っておかないと……
プレイ時間は短め
『Behind the Frame 〜とっておきの景色を〜』のプレイ時間は1時間。
分岐はなく、周回プレイの必要もない。
急いでプレイするのでなく、ゲーム内に流れるゆったりとした時間を感じながら、のんびりとプレイするのがおすすめだ。
ポカポカした休日の午後にプレイしてほしい
総合評価
総評:良い
3/5
『Behind the Frame 〜とっておきの景色を〜』は美しい世界観を味わう謎解きアドベンチャーだ。
ジブリの世界がそのままゲームになったような生き生きとしたアニメーションは美しく、その中で生活し、スケッチや絵を描くことでプレイヤーもゲームの世界に入り込んだように感じられる。
パズルの難易度は低く、流れるようにプレイできる一方で、ストーリーはあまりにも単純、序盤からオチが読めてしまうのは謎解きものとしては厳しい。
優れた世界観を生み出しながらも凡庸なストーリーが足を引っ張ってしまった惜しいタイトルだ。
- ジブリ映画のような世界観
- 流れるように進行するパズル
- 意外性のないストーリー
このページで使用している『Behind the Frame 〜とっておきの景色を〜』のゲームキャプチャ画像はAkupara Games / Akatsuki Taiwan Inc. / Silver Lining Studioの著作物です。転載、配布等は禁止いたします。
X(旧Twitter)では、このサイトの更新情報や最新のアドベンチャーゲーム紹介、お得なセール情報などを発信しています。ぜひフォローしてください!
▶えむのX(旧Twitter)をフォローする